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GT3 RSが3,151万円、限定車は新車を飛び越える | ポルシェ 911 中古相場分析【2026年5月版】— 4,544台集計

最終更新: | 4,544台・7サイトのデータに基づく

「最新の911は最良の911」。60年間ブランドが守ってきたこのスローガンを、中古相場はどう映しているのか。本サービス「中古車ウォッチ」が2026年4月の1か月間に7サイトから集めた911の掲載は4,544件。価格中央値は1,796万円、上位ラインは3,000万円超え、最上層には新車価格を平気で跨いでくる限定車たちが並んでいる。空冷ナローから992.2 T-Hybridまで、世代を一枚絵にしたとき、どこに「買える価格帯」が眠っているのか——当サービスの集計データから読み解く。

📝 本稿の読み方

市場サマリー

掲載台数
4,544台
価格帯
81〜8515万円
中央値
1796万円
走行中央値
2.0万km

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TL;DR / 今月の要点

911の中古市場の輪郭(当サービス集計)

4,544件という数字は、当サービスが7サイトから集めた延べ掲載数だ。同じ車両が複数サイトに載っているケースを含むため、純粋な「日本で売られている911の総数」ではない。それでも、これだけの規模を一括で見られることの強みは大きい。

集めた4,544台の内訳

サイト別の内訳を見ると、価格比較サイトの kakaku が1,399件で最多、続いて goonet 1,187件、carsensor 1,163件と、この3サイトで全体の8割超を占める。yahooauction 440件、cababa 273件、kurumaerabi 76件、nextage 6件と続く。価格情報の信頼度が最も高いのは carsensor(補完率98.2%)で、ここから抽出した995件のサブセットでも価格中央値1,810万円とほぼ同じ数字に着地する。全体集計と高補完サブセットで結論が一致しているのは、本集計の安心材料だ。

価格はどこに集中しているか

価格分布を200万円刻みで見ると、1,400〜1,800万円帯に最も多く積み上がり、1,800〜2,400万円にもう一山ある。安めの4分の1ライン(1,202万円)から高めの4分の1ライン(2,465万円)の間に半数が収まり、ここが「現実的に手が届く911」のコア価格帯と言える。

下を見れば、最安層(下位5%)は571万円、下位10%でも816万円。997型あたりの空冷でも水冷でもないターニングポイント世代が並ぶゾーンだ。一方、上を見れば最上層(上位5%)3,472万円、最高値は8,515万円——新車のターボSが2台買えるレベルの個体まで掲載されている。歪度は1.39で、高値方向に長い裾を引く分布。「平均1,919万円・中央値1,796万円」のズレ約120万円は、この上位の少数の超高額個体が引き上げた結果だ。

掲載開始・掲載終了の動き

掲載から消えるまでの中央値は 17日、安めの4分の1は8日、高めの4分の1でも25日。つまり半数の個体は3週間以内に動いている計算になる。911という車を考えれば、決して悠長な市場ではない。なお、新規出品の流入数(週次)については観測期間が本サービスのデータ蓄積期間と重なっているため、参考扱いに留める。

年式ごとの相場と「価格の断層」

911の中古価格には、世代の切れ目に沿ってはっきりとした段差がある。空冷から水冷へ、991から992へ、そしてMC直後の2024年。年式表をスクロールすると、その線が浮かび上がる。

年式ごとの中央価格

年式 件数 中央価格 走行距離中央値
2014 100 1,146万円 37,000km
2015 73 1,170万円 42,000km
2016 79 1,126万円 34,000km
2017 92 1,198万円 35,000km
2018 80 1,340万円 26,000km
2019 129 1,601万円 14,000km
2020 149 1,690万円 15,000km
2021 77 2,010万円 16,000km
2022 120 2,491万円 8,000km
2023 134 2,210万円 9,000km
2024 225 2,277万円 4,000km
2025 278 2,512万円 2,000km

太字を引いた行で何が起きているかを順に見ていく。

進化型マイナーチェンジの前後で何が起きたか

最も明確な断層は 2018→2019年(991型→992型)。中央値1,340万円から1,601万円へ約260万円ジャンプする。これは991.2型の最終年と992.1型の発売初年が重なるラインで、ワイドボディ統一・8速PDK・大型ディスプレイといった世代刷新がそのまま中古価格に転写されている。

次の段差は 2021→2022年。1,990万円→2,491万円と一気に500万円超のジャンプ。2022年はGT3 RS、ダカール、スポーツクラシックといった希少グレードが集中投入された年で、本集計でも2022年式GT3が中央値3,063万円、ターボが2,578万円と、上位グレードが価格帯を押し上げている。

そして 2023→2024年(992.1→992.2)。中央値は2,210万円→2,277万円とそこまで動かないが、走行距離中央値が9,000km→4,000kmへ半減する。MC直後で「ほぼ新車」の個体が大量流入したことが読み取れる。仮説として、納車から日が浅く手放された個体や、メーカー試乗車・デモカー流れが含まれている可能性がある。

減価カーブから見える性格

通常の輸入車であれば10年で残価3〜4割というのが定番だが、911の減価は緩い。2014年式中央値1,146万円は、当時のカレラS新車価格から見れば残価6割超を維持している水準だ。空冷時代に至っては逆に上昇トレンドで、1992年式(964型)が中央値2,245万円、1973年式が2,050万円と、新車時の価値を遥かに超えている。「911は資産になる」という言説は、本集計でも数字として裏付けられていると見ていい。

グレード別の相場

GT3 RSの中央値3,151万円。同じ911でもカレラの1,398万円と比べると、実に 2.25倍の開きがある。グレードを跨いだとき、911は別の車になる。

主要グレードの顔ぶれ

グレード 件数 中央価格 中央年式 中央走行
カレラ 1,040 1,398万円 2017 33,000km
カレラS 446 1,379万円 2016 32,500km
カレラGTS 299 2,336万円 2024 5,000km
GT3 200 2,394万円 2018 19,000km
カレラ4 175 1,140万円 2015 34,000km
カレラ4S 170 1,299万円 2016 33,000km
カレラT 151 2,002万円 2024 4,000km
ターボ 147 1,691万円 2011 27,000km
ターボS 137 2,655万円 2020 21,000km
GT3 RS 130 3,151万円 2019 11,000km
カレラ4 GTS 116 2,463万円 2023 5,000km
タルガ4 GTS 65 3,024万円 2025 4,000km

カレラとカレラSが合わせて1,486件と全体の3割超を占め、ここが「実質的な911市場の主役」だ。一方、価格の頂点を支えるのはGT3 RS、ターボS、タルガ4 GTSといった上位グレード。中央走行が5,000km前後と若いことが、新しさプレミアの証になっている。

グレード × 年式で見るMC効果

カレラに絞って年式別の動きを追うと、2018年式1,173万円→2020年式1,464万円→2022年式1,681万円→2024年式1,888万円→2025年式2,050万円と、世代と年次改良の積み上げがそのまま価格カーブとして現れる。新車1,694万円(992.2カレラ)に対し、2025年式中古中央値2,050万円——プレミアが約350万円乗っている計算だ。MC直後の品薄が現れていると解釈できる。

カレラGTSはさらに分かりやすい。2017年式(991.2)1,623万円から、2022年式(992.1 480ps)2,264万円、2024年式(992.2 T-Hybrid 541ps)2,351万円、2025年式2,630万円。T-Hybrid化したGTSは、新車価格約2,500万円に対して中古でほぼ等価か上回って取引されている。911史上初のハイブリッドという話題性が値持ちに直結している、と見るのが自然だろう。

GT3も興味深い。2014年式(991.1)1,652万円、2019年式(991.2)2,819万円、2022年式(992.1)3,063万円、2026年式(992.2)4,001万円。世代を遡れば1,652万円から992.2の4,001万円まで、2.4倍の幅でGT3が選べる。NA水平対向の終着点に近づく中で、各世代がそれぞれの希少性を獲得し始めている、という観測もできる(推測)。

限定車・特別仕様車のプレミアム

データの最上層には、新車価格を超える個体が集まる。

「ポルシェの限定車は買った瞬間から値下がりしない」という業界の通説を、本集計でも追認できる結果になっている。

走行距離とコンディション

意外なグラフが、走行距離別の中央価格に現れている。

走行距離ごとの価格感

0-1万km帯(698件)が中央値2,386万円で最も高く、1-2万km帯1,785万円、2-3万km帯1,544万円と素直に下がっていく。3-5万kmで1,150万円、5-8万kmで1,000万円、8-12万kmで905万円——ここまでは順当だ。ところが 12万km以上になると中央値が 1,538万円 に跳ね返る。

この「U字」の正体は、年式構成にある。12万km以上の中央年式は2007年だが、その中に含まれる空冷ナロー(1989年以前)や964・993といった「走らせて当たり前」のクラシック911が、走行距離より歴史でプライシングされていることを示している。距離は古い911の評価軸ではなく、コンディションと出自が値を決める世界、という古典的な構図がここに見える。

低走行 × 新しい年式の希少性

クロス集計を覗くと、0-1万km × 2024年式(189件、中央値2,206万円)と0-1万km × 2025年式(215件、2,478万円)の塊が大きい。MC直後の若い個体が低走行で大量流入する構図だ。一方、0-1万km × 2022年式は70件で2,749万円——同じ低走行でも、希少グレード比率が高い2022年式は値が乗る。

逆に「2-3万km × 2017年式」(22件、1,188万円)あたりが、991.2 カレラ系の現実的なお買い得ゾーンだ。日常的に使われた個体としての履歴がある程度確認でき、減価が一段落した価格帯と言える。

修復歴と車検残の現実

修復歴情報が確認できた1,482件のうち、修復歴ありはわずか 19件(1.3%)。911オーナーが事故車を市場に出す心理的・経済的ハードルの高さが現れている可能性がある。修復歴なしの中央値1,819万円に対し、ありの中央値1,820万円——統計上は差がほぼゼロだが、サンプル19件は参考値として扱う必要がある。

車検残の分布を見ると、車検情報のある942件のうち「車検整備付き」(残24か月以上)が32.1%。残12〜24か月のゾーンに294件が集中しており、最初の車検タイミングを終えた個体の流通が一定数あることが分かる。

属性で見る供給の癖

トランスミッション別では、MT 1,286件(中央値1,817万円)、AT 1,656件(1,687万円)、不明1,602件(1,920万円)。MTがATより中央値で約130万円高いのは、GT3 6MTやS/T、カレラT、空冷時代の3ペダル車といった希少MT個体がMTカテゴリに集中している影響だろう。なお911の「AT」とはほぼPDK(デュアルクラッチ)を指す。

ボディカラーの中央価格差も興味深い。緑系2,552万円、黄系2,493万円が高水準なのに対し、白系1,518万円、黒系1,568万円、赤系1,389万円と定番色は手堅い水準。希少色(オリーブネオ、リザードグリーン等)が中古でも値を保つというPaint to Sample信仰が、本集計でも数字に現れている。

地域別では、東京都458件で中央値1,999万円、神奈川県313件で1,690万円、愛知県278件で1,579万円、千葉県210件で1,778万円、大阪府160件で2,002万円。首都圏3都県と大阪府で全体の約3割が掲載される一方、静岡県は51件で中央値2,433万円と相対的に高め。輸入車専門店の集積と、富裕層保有個体の流入が考えられる(推測)。

データが示す「お得ゾーン」と「プレミアムゾーン」

安い個体、高い個体。それぞれにどんな顔ぶれが並んでいるかを覗くと、911という車の懐の広さが見えてくる。

下位10%: 816万円以下に並ぶ個体

下位10%(298件)の中央年式は2005年、中央走行78,000km。グレード構成はカレラ42.3%、不明25.2%、カレラ4 11.4%、カレラS 9.4%、カレラ4S 4.4%、GT3 4.0%。997型・996型のカレラ系が主役だ。

注目すべきは **修復歴あり比率0%**。下位ゾーンであっても、修復歴つきが目立つ構成にはなっていない。年式と距離による減価で価格が下がっているだけで、「事故車が安くなっている」わけではない。「初めての911、年式は割り切ってでも空冷か997で」という読者には、この816万円ラインが現実的なエントリーとなる。ただし997.1のIMSベアリング、6番シリンダーボアスコアといった世代特有の弱点には事前知識が必須だ。

上位10%: 3,070万円以上に並ぶ個体

上位10%(298件)の中央年式は 2024年、中央走行わずか3,000km。グレード構成は不明30.2%、GT3 RS 15.4%、GT3 12.8%、GT3 ツーリング 9.7%、タルガ4 GTS 8.7%、ターボS 7.0%、スピードスター1.7%、ヘリテージデザインエディション1.3%、ダカール0.3%。

「不明」が3割を占めるのは、限定車や特別な個体ほどタイトル表記に車種コードを使わない(「Porsche 911 S/T」のように品番で出される)傾向があるためと推測される。実質的には GT系・ターボ系・限定車という三本柱が上位ゾーンを構成している。年式が新しく走行も極小、つまり「今すぐ大金を払えば、ほぼ新車のスーパースポーツ911が手に入る」帯域だ。

本稿で描いた分布のどこを狙うかが決まれば、次は条件を絞って毎日追いかけるフェーズに入る。掲載中央値17日、安めの4分の1は8日で姿を消す市場で、欲しい一台に出会うには「自分の代わりに毎日見続ける目」が要る。911のような相場感の動きが速い車種ほど、その差は大きい。

よくある質問(当サービス集計での回答)

Q1: 911の中古相場はいくらですか? 当サービスが7サイトから集めた4,544件の集計では、価格中央値は1,796万円、安めの4分の1は1,202万円、高めの4分の1は2,465万円です。ただしカレラ(1,398万円)からGT3 RS(3,151万円)までグレード差が2倍超あり、世代も空冷から992.2まで広いため、「911の相場」という単一の数字より、グレード×年式で見るのが実態に近いです。

Q2: 911の買い時はいつですか? 本集計では、流通量が多く価格が落ち着くのは991.1〜991.2世代の2014〜2017年式(中央値1,126〜1,198万円)。逆に992型は2019年式から1,600万円以上で、新しさプレミアが乗っています。MC直後の2025年式は値が高止まりしやすいため、「世代成熟期に入った3〜5年落ち」が値ごろ感の出やすいタイミング、と本集計から読み取れます。

Q3: 911のMTとATでは中古ではどちらが多いですか? 当サービス集計では、AT(PDK含む)が1,656件、MTが1,286件、不明1,602件。ATの方が件数では多いですが、中央価格はMT 1,817万円・AT 1,687万円とMTが約130万円高い。GT3 6MT、カレラT、S/T、空冷時代の3ペダルなど希少MT個体がMTカテゴリの単価を引き上げている構図です。

Q4: 911の走行距離は何kmまでが許容範囲ですか? 本集計では、5万km以下が全体の約56%、8万km以下が約64%。中央走行は20,000kmです。一般論として5〜8万km帯(中央値1,000万円)あたりまでは整備履歴次第で十分実用範囲ですが、996/997.1のIMSベアリング対策、997.2以降のカーボン蓄積など世代特有の点検ポイントは要チェック。なお12万km以上でも中央値1,538万円となっていますが、これは空冷クラシック911が含まれるためで、距離より歴史で値段が決まる別世界です。

Q5: 911で修復歴ありの個体はどれくらい安いですか? 当サービス集計では、修復歴情報のある1,482件のうち修復歴ありは19件(1.3%)と極めて少数。中央値は修復歴なし1,819万円・あり1,820万円と数字上ほぼ差がありませんが、サンプル19件は参考値です。傾向として、911オーナーは事故歴のある個体を市場に放出しにくく、出てきても価格より「素性」で判断される傾向が強いと考えられます(推測)。

Q6: T-Hybrid化した992.2 GTSは中古市場でどれくらい価格が動いていますか? 本集計のカレラGTSを年式別に見ると、2024年式(992.2 T-Hybrid初年)2,351万円、2025年式2,630万円、2026年式3,053万円と、新しいほど明確に値が上がっています。新車価格約2,500万円に対して中古中央値が同等以上で、911史上初のハイブリッドという話題性とMC直後の品薄が、現時点で値持ちに強く効いていると解釈できます。継続観測が必要なポイントです。

Q7: 狙いの条件で911の新着を毎日追うには? 当サービス(中古車ウォッチ)は、cababa, carsensor, goonet, kakaku, kurumaerabi, nextage, yahooauctionの7サイトを毎日自動巡回し、条件に合致する新着個体をLINEに即時通知します。「GT3 × 走行2万km以下」「カレラT × MT × 関東圏」のような複合条件も設定可能で、無料プランなら24時間遅延版で試せます。本稿で見た「掲載中央値17日、安めの4分の1は8日で消える」流通速度を考えると、自動追跡は事実上必須と言える環境です。

2026年5月のハイライトと注意点

当月データで最も特筆すべきは、MC直後の992.2世代が中古市場の上位ゾーンを完全に支配し始めている点だ。2024年式の中央走行わずか4,000km、2025年式の中央2,000km、2026年式(38件、中央値3,216万円)の中央200km——「ほぼ新車」の個体が大量に流通している。これは納車間もない手放しか、デモカー・展示車流れか、その混在と推測される。新車を待つより、中古で即納を選ぶ層が動いている可能性がある。

一方、注意点として、本集計は重複排除をしておらず、kakakuの掲載は他サイトと重複している可能性が高い。yahooauctionの価格は落札価格ではなく開始価格・現在価格である点、goonetの一部はグレード判定不能で「不明」に含まれている点も、数字を読む際に留意したい。継続観測することで、992.2世代の値の落ち着きどころと、空冷/991前期世代の長期トレンドが見えてくるはずだ。

本レポートは、当サービス「中古車ウォッチ」が自動収集した中古車掲載データに基づく分析であり、日本の中古車市場全体を網羅するものではありません。集計対象サイトは cababa, carsensor, goonet, kakaku, kurumaerabi, nextage, yahooauction の 7サイト。分析対象期間は 2026年4月1日〜5月1日、対象は 4,544件の掲載です。次回更新は2026年6月を予定しています。

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※ この記事のデータは中古車ウォッチがcababa・carsensor・goonet・kakaku・kurumaerabi・nextage・yahooauctionを横断して収集した2026年5月1日時点の情報です。実際の価格・在庫は各サイトにてご確認ください。