中古車ウォッチ

走行2,000kmの2025年式が中央値2,695万円、限定車は新車価格を突き抜ける | ポルシェ 911 中古相場分析【2026年4月版】— 4421台集計

最終更新: | 4,421台・7サイトのデータに基づく

「新車で買えるなら新車で買いたい」——スポーツカーの世界では、そう考える人が多数派だろう。ところが911という車は、その常識をときどき裏切る。当サービスが7サイトから集めた4,421台のデータを開くと、2025年式の中央値が2,695万円、さらにダカールやヘリテージ仕様に至っては新車価格を遥かに超えたプレミアム帯に並んでいた。992.2への世代移行、T-Hybrid化、MTの希少化——複数の潮流がぶつかる2026年4月の911相場を、数字から解きほぐす。

📝 本稿の読み方


市場サマリー

掲載台数
4,421台
価格帯
81〜8515万円
中央値
1870万円
走行中央値
2.3万km

911の新着を見逃さない

7サイトを30分ごとに自動チェック。
新着が出たらLINEに即通知します。

LINEで新着通知を受け取る

TL;DR / 今月の要点


911の中古市場の輪郭(当サービス集計)

60年以上続くアイコン、しかし現代の911は「8代目」で止まったわけではない。2024年に登場した992.2がハイブリッド化し、2025年には711psの新ターボSまで登場した今、中古市場に並ぶ911は空冷・水冷・NA・ツインターボ・T-Hybridが同居するカオスだ。

集めた4,421台の内訳

本集計が対象としたのは、2026-03-20 〜 2026-04-19 の30日間にcarsensor・goonet・kakaku・yahooauction・cababa・kurumaerabi・nextageの7サイトに掲載された4,421件。価格データが取れたのは2,558件で、残りは価格非公開やオークション開始価格などだ。carsensor(1,248件)とgoonet(1,223件)、kakaku(1,205件)が主戦場で、この3サイトで全体の83%を占める。

価格はどこに集中しているか

価格中央値は1,870万円。しかし平均は1,958万円と中央値より高く、標準偏差は995万円、歪度1.36——つまり高値側に長い裾を引いた分布になっている。ヒストグラムで見ると1,400〜2,800万円帯に全体の約半分が集中し、3,000万円を超えると一気に薄くなるが、4,400〜5,600万円帯にも小さな山がある。これがGT3 RSや限定車の集団だ。

最安層(下位5%)は559万円。ちょうど997前期のカレラや996後期あたりが並ぶ価格帯で、「庶民車の倍」程度で911オーナーになれる入口ゾーンだ。対して最上層(上位5%)は3,456万円以上——もはや新車の上級グレードを超える領域である。

出品と販売のペース

掲載終了までの日数中央値は6日(n=191、下位4分の1で4日、上位4分の1で9日)。この数字は本集計で最も強いメッセージの一つだろう。911の良個体は、1週間で市場から消える。ただし注意点として、この観測期間はサービスのデータ蓄積期間とほぼ同じため、新規出品数そのものは参考扱いにとどめる。


年式ごとの相場と「価格の断層」

911には、はっきりとした価格の断層がいくつも存在する。そして2026年4月時点で最も目立つのは、2022年以降の急激な上昇カーブだ。

年式ごとの中央価格

年式 件数 中央価格 走行距離中央値 世代
2014 72 1,323万円 37,000km 991前期
2017 64 1,479万円 34,000km 991.2
2019 97 1,799万円 14,000km 992.1初期
2020 110 1,780万円 16,000km 992.1
2021 71 2,128万円 14,000km 992.1(GTS追加)
2022 82 2,676万円 6,332km 992.1
2023 115 2,373万円 8,000km 992.1後期
2024 146 2,380万円 4,000km 992.2移行
2025 223 2,695万円 2,000km 992.2
2026 22 3,128万円 167km 992.2新車同等

(参考値として1971〜1990年式の空冷も散見されるが、サンプル数が少なく個体差が大きい)

992.1から992.2への移行で何が起きたか

2024年の992.2フェイスリフトを境に、相場の顔ぶれが変わっている。グレード別の年式推移を見ると、カレラGTSは2023年式の中央値2,419万円(n=8)に対し、2024年式は2,351万円(n=23)、2025年式は2,630万円(n=28)。つまり2024年のT-Hybrid化初期に一時的な踊り場があり、そこから2025年式で再上昇した格好だ。

より劇的なのはGT3 RS。2019年式の中央値2,990万円(n=31)に対して、2024年式は5,050万円(n=11)。991.2世代のGT3 RSが約3,000万円で取引される一方、992世代の新しいRSは5,000万円の壁を軽々と越えている。世代間の差が、そのまま2,000万円の断層として現れている。

減価カーブから見える性格

通常の輸入車は「新車→3年で半値」が常識だが、911はそうならない。2019年式(登録から約7年)の中央値1,799万円は、当時の新車価格1,398万円を超えている。992.1カレラが、ほぼ金融商品のような残価カーブを描いていることが分かる。車種プロフィールに記された「高いリセールバリュー」という一般論が、本集計の数字で裏付けられた格好だ。


グレード別の相場

カレラの中央値1,315万円、GT3 RSは3,272万円。同じ911でもグレードによって2倍以上の開きがある。しかもMC世代、ボディ形状、駆動方式を掛け合わせると、その選択肢は30を超える。

主要グレードの顔ぶれ

グレード 件数 中央価格 年式中央値 走行距離中央値
カレラ 838 1,315万円 2012 42,000km
カレラS 304 1,283万円 2015 35,000km
カレラGTS 203 2,238万円 2024 7,000km
GT3 200 2,274万円 2018 20,000km
カレラT 133 2,002万円 2024 4,000km
ターボ 128 2,360万円 2010 26,000km
GT3 RS 120 3,272万円 2019 7,000km
カレラ4S 113 1,153万円 2014 51,000km
ターボS 96 2,758万円 2017 18,000km
タルガ4 GTS 71 3,024万円 2025 4,000km
GT3 ツーリング 37 3,229万円 2023 3,000km

カレラとカレラSの中央値が接近しているのは、カレラSの年式中央値が2015年と古く、年式差が性能差を相殺しているためだ。同じ2020年式で比べれば、カレラ1,398万円に対しカレラS 1,911万円と明確にS側が高い。

グレード × 年式で見るMC効果

カレラTの年式推移は教科書的だ。2023年式1,856万円 → 2024年式1,999万円 → 2025年式2,128万円と、毎年150万円前後の上振れが観察できる。992.2で6MT専用モデルとして継続したことが、在庫の新しさと相まってプレミアム化を招いている。

タルガ4 GTSはもっと劇的で、2024年式の中央値2,875万円(n=8)から2025年式の3,250万円(n=20)へ、1年で375万円の上乗せ。T-Hybrid化されたGTSのオープントップ系は、まだ球数が少なく需給が価格を押し上げているように見える(推測)。

限定車・特別仕様車のプレミアム

限定車の世界は別次元だ。

Dakarは車種プロフィールに「世界2,500台限定オフロード仕様」と記された希少車で、本集計でも9件が流通している。新車価格は3,000万円台だったと言われるが、中古で5,002万円——つまり新車価格の約1.7倍で取引されている計算になる。限定販売 × オフローダー911という唯一性が、このプレミアムを正当化しているのだろう(解釈)。


走行距離とコンディション

スポーツカーの相場は「走行距離が全て」と言われがちだが、911の場合そこに年式の重みが強く効いてくる。

走行距離ごとの価格感

走行距離帯 件数 中央価格 年式中央値
0〜1万km 510 2,503万円 2024
1〜2万km 267 1,880万円 2019
2〜3万km 148 1,602万円 2017
3〜5万km 271 1,216万円 2014
5〜8万km 210 1,012万円 2005
8〜12万km 176 805万円 2001
12万km以上 86 1,487万円 2006

最後の行に注目してほしい。12万km以上の個体が8〜12万km帯より高い。これは空冷世代の高値個体や、ビンテージ扱いの911が混ざっているためで、距離が伸びるほど安くなるという単純な関係は成り立っていない。

低走行 × 新しい年式の希少性

0〜1万km × 2025年式の交差点には157件が並び、中央値は2,663万円。同じ距離帯の2022年式になると49件で2,975万円——新しいはずの2025年式の方が安い。これは、2022年式の0〜1万km個体が「ほぼ新車のまま寝かされた希少個体」として特別な値付けをされている一方、2025年式は新車納車組の自然な流通が始まっているためと読める(解釈)。

修復歴と車検残の現実

修復歴データが取れた932件のうち、修復歴ありはわずか12件(1.3%)。参考値扱いだが、その12件の中央値は2,050万円、対して修復歴なし920件の中央値は1,928万円。数字だけ見れば修復歴ありの方が高いが、これはサンプルに古い高価格個体が含まれているためで、同グレード・同年式で比較すれば修復歴ありは必ず割安になるのが通例だ(一般的傾向)。

車検データのある465件では、12か月以上残っている「整備付き」個体が38%。上位帯では2024〜2025年式の新規登録組が大半で、車検残は長めに確保されている傾向が読み取れる。


属性で見る供給の癖

トランスミッションを見ると、MT 1,283件、AT 1,360件、判定不明1,778件。MT中央値1,821万円、AT中央値1,756万円とMTがATを65万円上回る。新型911ではGT3や911 S/T、カレラTといったMT専用または選択可能グレードが希少化しており、この価格差は整合する。

カラーでは白系235件(1,723万円)、銀・灰系188件(2,229万円)、黒系144件(1,819万円)が上位3。注目は緑系の中央値2,552万円——サンプルは37件と多くないが、Aventurine Green MetallicやShade Green MetallicなどRSモデルに選ばれやすい色であり、プレミアムが乗っている可能性がある(推測)。対して赤系は1,499万円と、意外にも全体平均より安い。

地域別では東京都419件(2,000万円)、愛知県203件、神奈川県189件が上位。静岡県は46件と少ないが中央値2,433万円と突出しており、ここも上位グレードが集まる傾向があるようだ。


データが示す「お得ゾーン」と「プレミアムゾーン」

911相場の両端には、それぞれはっきりとした顔がある。

下位10%: 856万円以下に並ぶ個体

本集計で価格データが取れた2,558件のうち、下位10%にあたる257件は856万円以下。年式中央値は2004年、走行距離中央値は85,000km、修復歴ありは1.9%。グレード構成を見ると、カレラ42.8%、カレラS 9.7%、カレラ4 8.6%、カレラ4S 5.1%と、996〜997世代のベース系が大半を占める。

「とにかく911オーナーになりたい」「996のIMS対策済み個体を慎重に選びたい」という読者には、このゾーンが入口になる。ただし車種プロフィールでも指摘されているように、996・997前期はインターミディエイトシャフト(IMS)ベアリング破損の持病があり、対策済みかどうかの確認が必須だ。

上位10%: 3,073万円以上に並ぶ個体

対して上位10%の257件は3,073万円以上。年式中央値は2024年、走行4,000km、修復歴ありは0件。グレード構成は GT3 RS 16.3%、GT3 14.4%、タルガ4 GTS 10.9%、GT3 ツーリング 10.5% と、トラック志向と限定仕様が支配する。タルガ4S ヘリテージやDakarもここに含まれる。

この帯域を狙うなら、新車発注の列に並ぶべきかもしれないが、それが叶わない限定車や、既に生産終了した992.1 GTS 7MT最終型などはこの中古プレミアム帯でしか手に入らない

本稿で描いた分布のどこを狙うかが決まれば、次は条件を絞って監視するフェーズに入る。カレラTの2025年式・走行1万km以下、あるいはDakarの新着——いずれも掲載から中央値6日で消える個体群だ。毎日の自動巡回なしに欲しい一台を捕まえるのは、現実的に難しい。


よくある質問(当サービス集計での回答)

Q1. ポルシェ911の中古相場はいくらですか?

当サービスの集計では、全体の中央値が1,870万円(n=2,558)、下位4分の1が1,270万円、上位4分の1が2,520万円です。996〜997のベースカレラなら856万円以下の下位帯に入ることもありますが、GT3 RSや限定車は3,000万円を大きく超えます。

Q2. 911の買い時はいつですか?

本集計では、掲載から消えるまでの中央値が6日と非常に速く、「買い時を計る」より「良個体を見逃さない」体制が先です。その上で、当月データでは2022年式0〜1万km個体が2,975万円で、翌年の2023年式(2,511万円)より高値になるという希少性プレミアムが観察されました。低走行の2022〜2023年式992.1最終型は、992.2がPDK専用化する前のMT設定を持つ最終個体として、今後の値下がりは緩やかになる可能性があります(推測)。

Q3. 911のMTとATはどちらが中古で多いですか?

本集計で判定できた範囲では、MT 1,283件、AT 1,360件とほぼ拮抗しています。中央値はMT 1,821万円 > AT 1,756万円で、MTプレミアムがデータに現れています。GT3、911 S/T、カレラT、992.1 カレラGTSなどMT希少モデルが価格を押し上げているためと読めます。

Q4. 911の走行距離は何kmまでが許容範囲ですか?

本集計では、0〜5万kmが1,196件(49%)、5〜12万kmが386件(16%)、12万km以上が86件(3%)。911は整備を重ねれば20万kmを超えるエンジンも珍しくありませんが、中央値で見ると5〜8万km帯で1,012万円、8〜12万km帯で805万円と、走行が伸びるほど素直に安くなる傾向があります(古いビンテージ帯を除く)。

Q5. 911で修復歴ありの個体はどれくらい安いですか?

本集計で修復歴データが取れた932件のうち、修復歴ありはわずか12件(1.3%)と少数の参考値です。数字の上では修復歴ありの中央値2,050万円 > なし1,928万円ですが、これは古い高価格個体が偶然含まれているためで、同グレード・同年式の比較ではありが安くなるのが一般的です。911のような高額車ほど修復歴は流通しにくく、見つけたら慎重な現車確認が欠かせません。

Q6. 992.2 カレラGTS T-Hybridの中古は今いくらで買えますか?

本集計では、カレラGTS全体(203件、2015〜2025年式混合)の中央値は2,238万円です。そのうち2024年式(T-Hybrid初期)は中央値2,351万円(n=23)、2025年式は2,630万円(n=28)。新車価格2,254万円(2024年5月発表時)に対し、1年落ちの中古が同水準かやや上——T-Hybridの話題性と納期待ちの長さが、新車にほぼ等しい中古価格を支えているようです(解釈)。

Q7. 狙いの条件で911の新着を毎日追うには?

当サービス(中古車ウォッチ)は、cababa、carsensor、goonet、kakaku、kurumaerabi、nextage、yahooauctionの7サイトを毎日自動巡回し、条件に合致する新着個体をLINEに即時通知します。「カレラT × 走行1万km以下」「GT3 × 東京・神奈川」「カレラGTS T-Hybrid × 修復歴なし」のような複合条件も設定可能で、無料プランなら24時間遅延版で試せます。本稿で見た「掲載中央値6日」の流通速度を考えると、自動追跡は事実上必須と言えます。


2026年4月のハイライトと注意点

本集計で最も印象的なのは、2024年以降の新しい個体が急速に流入していること。2024年式146件、2025年式223件、2026年式22件と、1年単位で構成比が膨らんでいる。992.2への世代交代が中古市場に波及し、992.1最終MTや2022年式の低走行個体といった「もう作られないスペック」が相対的に希少化しているのが、今月のデータが語るメッセージだ。

一方で注意点も多い。yahooauctionとcababaは価格が落札価格ではないため本稿の価格中央値からは除外しており、価格比較サイトのkakakuには他サイトとの重複掲載が含まれる可能性が高い。goonet掲載の約9割は「不明」カテゴリに分類されており、グレード別の議論ではcarsensorとkakakuの数字が中心になっていることは承知しておきたい。継続観測で見えてくるのは、992.2 ターボS(711ps)が日本の中古市場に登場するタイミングと、Spirit 70の初期プレミア水準だろう。


本レポートは、中古車ウォッチが7サイト(cababa, carsensor, goonet, kakaku, kurumaerabi, nextage, yahooauction)から自動収集したポルシェ911の掲載データ4,421件を、2026-03-20 〜 2026-04-19 の30日間で集計したものです。日本全国の中古車市場を網羅するものではなく、掲載は延べ掲載数ベース(重複排除なし)で数えています。次回更新は2026年5月、以降月1回のペースで継続予定です。


4,421台超の911から条件に合う1台を

911は流通量が多い分、条件を絞り込むことが重要です。
7サイトの新着を30分ごとにチェックして、LINEで即通知。

LINEで新着通知を受け取る

過去の911に関する記事

関連記事

※ この記事のデータは中古車ウォッチがcababa・carsensor・goonet・kakaku・kurumaerabi・nextage・yahooauctionを横断して収集した2026年4月19日時点の情報です。実際の価格・在庫は各サイトにてご確認ください。